捨てる神になるより、拾う神になれ(JDPアセットマネジメント株式会社)

無視される部分、重要でないと思われているデータに、大きな問題が隠されている。

社会心理学に「DK分析」という言葉がある。

DKとは「知りません」「わかりません」ということだが、DK分析とは、この文字どおり、アンケート調査の統計に出てくる「知らない」「関心ない」という部分に注目して分析するという分析法である。

どんなアンケート調査結果でも、「イエス」あるいは「ノー」の明確な解答のほかに、かならず「知らない」「関心がない」「わからない」という、白でも黒でもない灰色の解答がある程度の割合を占める。

このDKの部分は、一見すると無視してもかまわない答えのようだが、社会心理学者はこの灰色の部分にこそ、おおいに着目する。

なぜなら、この種の灰色解答にこそ、大衆のホンネが隠されていることが多いからだ。

解答者がはっきりと「イエス」「ノー」と答えている場合は、タテマエや見栄で言っている場合が多いので、そのままうのみにすることはできない。

しかし「知らない」「わからない」という解答は、逆に考えれば、「答えるのが面倒だ」「そんな問題は考えたくない」というホンネが正直に表わされていると見なすことができる。

こうした解答は、意識を理性でコントロールしていないので、ホンネに近いものが表われているのである。