カタチからはいる

パソコンのCMではないが、「最近の若者はカタチからはいる」とよくいわれる。

どうやらこのセリフには、年配のサラリーマンの「仕事もできないクセに、カッコばかりつけやがって」という皮肉が込められてもいるようだ。

しかし、たとえカタチからはいったとしても、それで中身もできるようになれば文句はないだろう。

たとえば、ちょっとファッションに興味のある方ならよく経験されることと思うが、着いているものによってそのときの気分が変わる、ということがある。

実際、スーツを替えたことで気分ばかりか、発想まで変わったという実例もあるのだ。

優秀だがカタブツという定評のあったある大手デパートの部長は、いつもダークグレーのスーツを愛用していた。

ところがあるとき知人に「そんな暗い色のスーツでなく、明るい色を着てみたら」といわれた。

ちょうどそのすぐあとに海外出張があったので、ビジネスマンのスーツの色を注意して見てみると、ヨーロッパでもニューヨークでも、ベージュや茶のスーツがかなり多いことに気づいた。

そこですぐに茶のスーツを購入した部長氏は、日本に帰ってきてからもそのスーツを着てみるようにした。

すると、自分で以前より気分が落ち着いていることに気づいただけでなく、友人たちからも柔和な感じになったといわれる。

こうしたいい気分と好印象が、仕事に好影響を与えないはずがない。

帰国以来仕事も順調にすすみ、仕事が楽しくて仕方ないという。

たかがスーツの色と思うかもしれないが、色というのは人間の心理に微妙な影響を与えるものである。

色彩心理学からいうとグレーが鈍重、平凡なのに対して、茶は元気、闊達となるそうだ。

JDPアセットマネジメント株式会社