2015年4月アーカイブ

私が話をしたある会社の社長は、彼の下にある各部門が、お互いにコミュニケーシヨンをとらないことを自慢していました。

これは、お互いの仕事に干渉してはいけないという意味です。

スペイン人は彼らなりの秩序と規律に対する意識を強くもっているのですが、それは理論的なものではなく、むしろ実践的であり具体的なものであるといえます。

規則や制度、メカニズムといったものは、ただ異常事態が起きた時にそれをストップするための最後の手段であると考えられています。

システムにとらわれたくないと考えることは何を意味しているかというと、つねに危機感、緊迫感が存在しているということです。

しかしそのような状態にうまく対処していくことで誇りをもつことができ、そのほうが機械の歯車の一つなどでいるよりは、はるかにやりがいがあるわけです。

旧スペイン時代の中央集権制度は、それにふさわしい組織の規範をつくりました。

監督官庁と同じように運営されている国営の企業、そして大規模な民間企業に存在する念入りな組織の枠組みは、あまりにおびただしい数の書類上の手続きによって縛られているため、その手続きの本来の目的など、とうに見失われてしまっています。

このような状況は、新興の民間セクターでは、速いスピードで変わりつつあります。

中央集権排除に基づく組織や目標設定、また職務の専門化などが急速に根をおろしつつあるため、若者と50歳以上の管理職の間には、深刻な世代のギャップが生まれています。

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スペイン企業の組織と構造

会社の形態には2種類あります。

株式会社であるソシエダード・アノニマ(SA)と、有限会社であるソシエダード・デ・レスポンサビィリダード・リミターダ(SRL)です。

取締役は最低1名必要です。

従業員50人以上で取締役2名以上の会社は、従業員の代表1名を役員会におかなければなりません。

50名以上の会社には、職場委員会の設置が義務づけられています。

スペインの伝統的組織は、人によるヒエラルキーの概念を基盤としてつくられています。

組織図というものがもしあるとしたら、そこには職務機能上のシステムというより、むしろ社会のシステムをみることができます。

トップの指示が、認められた指示系統を通じて下へ伝えられることによって、企業は運営されています。

組織区分がはっきりしているのは、業務を分割して効率をよくするためではなく、上級管理職による権限を高めるためなのです。

チームの概念とは(もしあればの話ですが)、強いリーダーのもとに、個人個人が独立して働くといったものです。

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イタリアでは、多くの自営業や中小企業が、その基盤を家族においているのです。

より普遍的な政治や社会の制度が成り立っている国々では、人々の間に、社会の一員としての意識をより広くみることができますが、イタリアでは、その代わりとなるのが、家族の絆、そしてそれにともなう権利と義務なのです。

国の政策はあふれるほど存在しているのですが、それらは日常生活のレベルにまで浸透してこないのです。

民間企業も、個人が政府に対してもつのと同じアンビバレントで複雑な関係を、公的セクターに対してもっています。

このような政治的な環境は、業務の遂行そのものに影響を与えるだけではありません。

仕事に対する人々の態度も影響を受け、それがイタリアのビジネス環境全体に浸透しています。

重要なことはすべて、規則を一切無視して行われます。

会社への忠誠心についていえば、個人的な見返りを得ることなく、非人間的な組織のために金もうけをする、という考え方は、あまり浸透していません。

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イタリアの国による干渉

ヨーロッパの中で最も非効率的な公共サービスを経験しているにもかかわらず、イタリア人は政府による干渉をとても好みます。

90%以上の人が、政府による電気や交通、銀行の所有または管轄に好意的であり、また鉄鋼と自動車産業については、80%以上がそう考えています。

そして半数以上の人々が、一貫して、政府が仕事を供給し、賃金と価格を法律によって規制することに賛成しています。

政府と独占的民間企業という二つの悪をくらべると、政府のほうがまだましだと考えられています。

経済に対する政府の関与は、すでに相当なものになっています。

イタリアのGDPにおける政府支出は、ECの中でも最大で、その主な内容は、社会保障などの移転支出です。

にもかかわらず、これは一種の逆説的な状況なのですが、イタリア人は、自分たちの生活の糧を、公的セクターにはそれほど依存していません。

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イタリアには、ECに対する純粋な熱意も存在しています。

ウィーンとマドリッドがそうであったように、ブリュッセルこそ、この始末におえない事態を直す薬である、というわけです。

しかも今回は、イタリア人もその権力の一部を担うことができる、ときています。

政党は、経済や人々の日常の生活に深く影響を与えています。

政党は、幅広い範囲の任免をコントロールしており、閣僚から市の公務員、そして多くの国営会社の中堅管理職にいたるまで、相当な力を行使しています。

ラコマンダツィオーネとは、特定の人をひきたてることですが、これは、好意や影響力、票やその他、さまざまなものを取引することとならび、公的セクターにおいてごく日常的にみられるものです。

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