2015年5月アーカイブ

大企業は、ノン・エグゼクティブ・ダイレクターと呼ばれる取締役をおいていることがありますが、その理論的役割は、客観的な目で会社の業務をみていくことです。

しかし、その責任は、あまりきちんと定義されてはいません。

彼ちの真の機能は、政府やエスタブリッシュメントとのコンタクトを提供することなのです。

貴族や政治家、そして引退した官僚などが、その典型的な例です。

それから取締役会は、会社を経営するために、執行取締役(エグゼクティブ・ダイレクタi)と社長から構成される執行取締役会を任命します。

これが、ヨーロッパ大陸でみられる二重取締役会システムに最も近いものですが、イギリスではこれが限界です。

このようなしくみを導入しようとすると、執行取締役たちから強い抵抗を受けることになります。

彼らにとってこれは、自分たちに与えられた伝統的な役割を侵害するものだからです。

取締役会よりも下のレベルにおいては、組織の性格はそれほどはっきりしたものではありません。

JDPアセットマネジメント株式会社

一企業の組織と構造

イギリス取締役会は企業の最高意志決定機関であり、組織における権力の源です。

PLC(公開有限会社)は、株主が指名した役員を少なくとも二名は取締役会におかねばなりません。

一人はチェアマン(会長)で、このポストは同時にチーフ・エグゼクティブ(社長)を兼ねることも可能です。

兼任していない場合、社長のことはふつう、マネージング・ダイレクターと呼びます。

会長に加えて、法規や管理面を担当する総務担当取締役がおかれますが、他の役員はすべて任意です。

通常は、財務担当役員や、主たる事業部門ごとの担当役員がおかれます。

子会社組織をもつ持ち株会社の場合、幾層にも重なる取締役会があることがあり、それらの会長は皆、同一人物です。

それら個別の取締役会は、現地を担当する役員から構成される現地取締役会と呼ぶこともできるでしょう。

非公開有限会社(LTD)の場合は、オーナーが指名する役員を一名おけばいいだけです。

その点さえ除けば、会社の構造や法的な枠組みは、PLCの場合と非常によく似ています。

JDPアセットマネジメント株式会社

伝統的な同族会社が、資金計画や予算、決算書をもっていることはほとんどありません。

売上とキャッシュフローを表す数字だけがカギです。

会社の業績が悪化していないかぎり、他の数字は重要ではありません。

純利益という意味での「ボトムライン(最終結果)」にはあまり敏感ではありません。

多くの企業では、ボトムラインを表すことのできるシステムはまだ存在しませんし、もしあったとしても、その情報を経営のトップに伝える気はないでしょう。

会計のシステムは、啓発を目的とするものではなくて、税務署や銀行にわからないよう財務上の数字を隠すためにつくられたものなのです。

もっともこのような状況は、急速に変化しつつあります。

それには外国の投資家や仕事相手が、納得できるように正しい報告を要求するようになったことが影響しています。

また証券市場も、決算の基準や独立した会計監査の設立を求めて、圧力をかけています。

スペインの投資家は企業への直接投資には慎重で、むしろ間接的な投資ファンドのほうを好みます。

そのほうが、個人が集められる以上の情報能力によって、利益やリスクを分散することができるからです。

しかし株主や起業家たちは、しっかりした規則と独立性をもつ活発な市場のほうが、資本集めや個人資産の形成にとって有効であるということに気づいたのです。

JDPアセットマネジメント株式会社
スペインではビジネスを実践する時に、特に予測や計画を立てたりしません。

明日は明日の風が吹く、という具合です。

これはある意味ではメンタリティーの問題であり、ある意味では先の計画を立てるメカニズムが、あまり発達していないためです。

昨日の会計をすることさえまだ初歩段階、といった環境では、明日の会計を期待することなど、ぜいたくというものです。

戦略づくりは、社長やオーナーの責任です。

その場合、彼らは、システマティックな研究よりも、直観やビジネスセンスに頼ります。

もしコミュニケーションが行われるとしたら(そんなことは誰も期待していませんが)、あいまいなヒントや忠告という形をとるでしょう。

インテレクチュアルな概要をつくりあげたり、壮大な構想を練ったりすることは好きではありません。

具体的なもの、実践的なもの、自分が信頼している人たちの意見のほうを好みます。

おびただしい数の情報収集に時間をかけたり、研究を行ったりするのは、時間の無駄だと思われています。

情報収集とは、何を調べているのかは明らかにせず、できるだけ多くの人に話しかけることなのです。

どんな数字も信頼できない、または存在しないようなスペインのビジネス環境においては、これが唯一の方策です。

もっと近代的な企業では、正式な書類に書かれた計画があるかもしれませんが、それはおそらく経営陣のために、戦略立案のコンサルタントがまとめたものでしょう。

でもそれを実際に実行することは、中間管理職にとっては経験もなく、またしたいとも思わないかもしれません。

JDPアセットマネジメント株式会社